Lucky For Voyage
この度私のアーティスト英語表記名を今までのsuppa micro pamchoppから
suppa micro panchop
に改めたタイミングで今まで利用していなかったサブスクリプションサービスに登録し、配信第一弾としてニューアルバム『Lucky For Voyage』がめでたく解禁となりました。
spotify➡︎ https://open.spotify.com/album/0HTE2dAVLJSbMqZOUoKuaY
Apple Music➡︎https://music.apple.com/jp/album/lucky-for-voyage/1531003373
DEEZER➡︎https://deezer.page.link/qB5HygyxLwKfG1zs9
LINE MUSIC➡︎https://music.line.me/album/mb0000000001db1fbb
amazon music➡︎https://music.amazon.co.jp/albums/B08HPC6TPZ
以上は各サブスクサービスのページです。利用しているサービスがあれば是非聴いて下さい。
今回の新作は現状CDプレス化の予定はないので、アルバムを非圧縮の私の意図する良き音で聴きたい方や、私に労いの投げ銭を寄付したいという素晴らしいお方は
bandcamp➡︎https://suppamicropanchop.bandcamp.com/album/lucky-for-voyage
BOOTH➡︎https://recordmizukoshi.booth.pm/items/2356278
上記bandcampかBOOTHのページからデータ購入してください。
上記の全てのリンクにsoundcloud、YouTube、Instagram、SUZURIのリンクまで加えた便利なファンリンクはこちらです。Fanlink➡︎https://fanlink.to/suppamp
私は音楽を作る際、大抵はノープランノーコンセプトの成り行きまかせなことが多く、特に既成のサウンドモデルや曲調モデルとかはなく、イメージは空っぽのまま、自分にしか表せないどんな形が表出させられるのかを楽しみに作っています。
誰かの様な音楽は作りたくないが、例えば60年代のジェームズ・ブラウンがファンクを発明した時の様な、若きアントニオ・カルロス・ジョビンとジョアン・ジルベルトが出会ってその化学反応としてボサノバが生まれた時の様な、ビートルズが誰もやったことのないアイデアをポップスに詰め込んでいって出来ちゃったミュータントな曲の様な、そんな爆発的な誕生を毎曲で生み出せたらいいな、、という意識は強く持っている。それができてる、なんて言いませんけど。
それはただ、フレッシュでポップであればなんでもいい という気持ちとも言えるかもしれません。
そして、私は自分の音楽の形態が電子音楽的であることにそんなにこだわりはない。私は音全般が好きなのであって、電子音楽専門家であるつもりはない。マインド的には多分パンクとかロックとかそっち寄り。楽器も全然うまく演奏できないし歌も音痴、ツールにすらお金をかけないような自分からポップな何かが表せたら超楽しい。キャッチーなのに妖しさ不思議さ他に無さがあったら尚よろしいじゃん。そんな感じです。
私が表現する時や誰かの表現を堪能する時、こだわるのはリアリティの有無。サムい表現がなぜ寒いかといえばリアルじゃないから。杓子定規な言葉は死んでる言葉だし、杓子定規なリズムは死んでるリズム。フレッシュじゃないんです。世の中そういうリアルじゃないサムい表現物の方が圧倒的に多いわけだから、私がリアリティにこだわってものを作ることは意味(意義)がある。
例えば、幼児がクレヨンで描いた雑な落書きに動きをつけた様なスカスカでグニャグニャなアニメーションがあるとする。人間の子と動物(豚とかハリネズミとか)が都会の雑踏を会話しながら歩いてる、そんな内容で。そこに実写と変わらぬ奥行きのあるリアルな雑踏のサウンドスケープと、演技を感じさせないサラッとした空気感あるアフレコを乗せる。
観る人がそこから感じるリアルさはただのリアルとは違うPOPなリアルさ。視覚的にはデフォルメの最北なのにサウンドは超現実的。そこに生じる立体感にはただの実写表現のそれやリアルなアニメ描写でのそれよりも深い奥行きを感じるだろう。70年代のセサミストリートとかでそんな感じのアニメ結構あったよね。
多重録音でシンセサイザーの音色をチョイスする時、音色本来の役割とは違う役割を与えてあげることには、先のデフォルメアニメと近い立体効果が得られる。「よくある感じ」というのが「現実」であるのに対し、リスナーが予測する「よくある感じ」をいい意味で外して上げること、そこにPOPが生まれる。「違和感」ってPOP感と大いに関係がある気がしませんか?
親しみやすい旋律。それを何の楽器かわからない様な音色で鳴らす。ちょっと変な感じ。だけど美しさやわかりやすさもある。リアルとアンリアルが共存している愉しさ。それはどんな位相のパターンでもいい。そのバランスのやりくりはリアリティの為のやりくりだし、POPをデザインするやりくりだと思う。
奥行きの作り方は無限大。音楽は時間芸術なので、1枚の静止画と違って数分間の中に何回でも場面展開できる。同じシーンの中でも瞬間瞬間にリアルさのレンジを広めたり狭めたりもできる。奥行きのある時間と奥行きのない時間も共に包括されてることでもっと大きな奥行きを出すことも出来る。波があってこそ音楽的であれるとも言える。音は波だし。
子供が殴り書きした様なタッチの動物が人間の子供と日本語で会話している。そこに正規の訓練された声優さんのアフレコを乗せるのではリアリティは弱くなる。どうしてもプロであるがゆえの杓子定規で作為のある演技になってしまうだろう。いや、それでもいい。それでさえも充分POPさは出せる。
が、しかし、、、、
つまらないギャグとかにも状況次第で奥行きがうまれるもので、つまらなさそのものを面白さに転換可能なわけで... 誰がいつどこでどんな口調でどんな顔でどんな背景を背負ってどんな間を挟んでどんなリズムでそれを言うかで全然違うわけで、、、
ちょっとキリがないのでこの辺でやめておきますが、こんな風に思ったりする私の最新作『Lucky For Voyage』、聴いてくれた人には必ずラッキーなことが起こるって私はなぜだか信じてます。虹のジャケットも縁起がいいし、音も福音って感じじゃないですか?
絶対いいことあります
Lucky for you
うたうドゥイドゥイ
この度 suppa micro panchop の bandcamp の最新配信アルバムとして『UTAU do it do it』(『うたうドゥイドゥイ』って読みを推奨したい)をリリースしました。
↓ こちらで全曲試聴可能
suppamicropanchop.bandcamp.com
『UTAU do it do it』は、6月にCDリリースした『UTAUたいたい』から派生した別内容のアルバムとなってます。
UTAUたいたい=合成音声によるvocal、14曲入、¥2,000
UTAU DOITDOIT=私(スッパ)によるvocal、9曲入、$7
『UTAU doit doit』は、『UTAUたいたい』収録曲の内7曲を自分のボーカルに差し替えた(もしくはUTAUと一緒に歌ってみた)ヴァージョンと、『UTAUたいたい』未収録の新UTAUvocal曲「踊った方がいいな」と「GET UP」の自分で歌ってみたヴァージョンの計9曲で構成しています。
ここ1年で作ってる曲は全てUTAUライブラリーの何かに歌ってもらう前提で自由に作った歌物曲であり、自分が歌うことを想定していたら絶対に生まれなかった曲達なので、そういう曲を自分が歌ってもUTAUの魅力には敵いっこないと思っていましたが、チャレンジしてみました。
本家の『UTAUたいたい』 CDをお求めの方はsuppasuppa@gmail.comへ注文のメールをください。
ゆうちょ銀行・みずほ銀行・りそな銀行・paypal からの送金に対応しております。
bandcampでの音源購入は、今まではクレジットカードがない人だと結局価格FREE設定の音源を0円で買うことしかできなかったのですが、つい先日から直接銀行口座から振込可能になったことはご存知ですか?これを機にぜひpaypal登録してはいかがでしょうか。
paypalの使い方:
bandcampはpaypalを通して通貨変換してくれるから世界中の人が購入可能です。
UTAUたいたいへのコメント まとめ
私のニューアルバム『UTAUたいたい』への反応/感想の言葉をここにまとめます。ツイートや投稿で公に発信してくれた人は実名で、メールやメッセージで個人的にくれた人は頭文字で匿名で記しますが、削除希望/実名希望 の方はおっしゃってください。
「「UTAUたいたい」
これは、スッパマイクロパンチョップのニューアルバムのタイトル。待ちに待った4年ぶりの、新作。
「UTAUたいたい」の"たいたい"とは、(以下、スッパの文章より)
"役にたちたい"のたい・"一石を投じたい"のたい・"唄いたい"のたい・"創りたい"のたい・”踊りたい”のたい・”聴きたい”のたい・”知りたい"のたい”・"触りたい”のたい とか、何かを能動的にしたい気持ち全部を"taitai"に当てはめられるようにということと、「utautaitai」と発音した語感が楽しいかなと。積極的に発声したくなるような。なんとなくハマった気がしてしっくりきています。
この感覚、、、、、。あああああああああああああああスッパ、、、、、、、、、。taitai に当てはめられるようにだとう、、、、?この単純明快且つ珍しい頭、、、、、『コレは、ここにしまうよね!』『こういうときは、モノトーンよね!』『こっちが最初じゃない? 』そんな、この世になんとなくある矢印計算のほんのチョピとの隙を突いてくる、泥棒感。
何かを能動的にしたい気持ちを全部、taitai に!!
『UTAUたいたい』は、14曲、39分。全ての楽曲が合成音声を使用して作られた、アルバム。
わたしは、ボーカロイドの音楽に今まであまり馴染みがなかったのだけど。昨年から何故か急ーーにスッパさんがボーカロイドの音楽を作りまくりおそらく出来立てほやほやの楽曲をすぐにネット上で発表していて、それを見つけるたびに即再生。ゾクっ。即再生、ゾクっ。、、、、
台所に落ちてるものをパッと手にとってみたら、硬そな見た感じよりもなんだかすごーーーーーーくムニュっとピトっと温っとしていて変てこーーーな感触だった、、、という時の、ゾクっ。
まあ、変です。ただし、感動作です。わたしがいつ感動したかというと、『UTAUたいたい』を手に入れた夜すぐに聴いて、寝て、朝起きたその日、
1日中!!!!!!
全曲何度か繰り返し聴いた夜を越えて、いつも通りの暮らしの中で。ふと、ゾゾゾゾゾゾゾゾグググググググググクイッとお尻を揺らしながら込み上げてくる、リズム。え?このリズムなんだったっけ???「走るーーーメッセジさいぼーーー沈むーーーあまのじゃくーー」え?この音なんだったっけ????
その日1日中のなんだったっけ?の全ての答えが、『UTAUたいたい』のスッパミュージックだった。
とにかく、思い出す。アルバム中のところどころを、ランダムに。その思い出し方は、キャッチーなメロディーが耳に残って、というよな音楽によくある現象とは違くて。例えていうのがとても難しいのだけど、
自分の経験値があがった時。その取得した知識や感覚が自分をひとまわり大きくさせ生活を豊かにさせるように、新たに体内に蓄積されたものが自分を通して発信される、そんな、思い出し方。
そしてその無意識に発信される声らしき音の、なんと清らかで、ピュアな響き、、!スッパミュージックはいつも、踊ったことのないリズム、聴いたことのない音、飛び越えたことのないタイミングなどなどわたしに新しい音楽を聴かせてくれるけれど。『UTAUたいたい』でのわたしにとっての新しい感触は、味わったことのない、清らかさ。それはまるで、食べたことない味のシャーベット!通したことない素材の袖!!
最初にも書いた通り、わたしは合成音声の音楽は本当にほぼ聴いたことがなかったけれど。数少ない合成音声体験としておぼえているのは、何年か前に聴いた、竹村延和の『10th』というアルバム。素晴らしいベース音のうねりに引きずり込まれている間に、声?らしき音で言葉?らしき音が聴こえてくるのだけど。自分が何故この音をどこか声として認識するのか、疑問に思えて楽しかったことを覚えてる。とくに伸ばした音のそのお尻あたりにだけ注目して聴いていたら、まったくもって声ではないと思うのだけど、どうなんだろ?いまでも聴くたびに不思議で楽しい。『10th』、聴いていない人には合わせておすすめ!
そんなこんなで、また新しい音楽を好きになれて、それは本当に幸せなことだなと感じてる。
正直、新しい音楽との出会いは、不安や嫌悪感、ガッカリ感を抱えることもたくさんあるのだけど。もしかしたらそれは、自分が無知なだけだったりするのかもしれない。(もちろんただ気に入らないものもあるけど!)
そして、そんな風に無知な部分を持っていないと、本当に新しい感触との出会いも無いわけだから。いっとき抱えるガッカリ感も、もしかしたら自分が知らない世界に行ける、チャンスの兆しと言えるのかも。
スッパマイクロパンチョップは、東京在住の毎日息吸って吐いてる本当に普通の1人の人間だけど。わたしにとってはいつでも新しい扉であって、わたしはそれを、開けさえすればいい。音楽だけではなく、新しい扉の奥にあるものに対して反応できる感性をいつまでも持ち続けるためには、自分の目や耳、鼻、言葉を使って世界を捉えて生活していくこと。ちゃんと自分を生きていないと、誰でも病気になっちゃうよ!誰にもジャマさせちゃ、ダメー!
世界中に、もちろん自分のまわりにも、本当に魅力的で羨ましい人がたくさんいて。その羨ましさや憧れが自分をじわじわ縮こまらせて、馬鹿らしいけど、なぜか自分の好きなものからいつの間にか遠ざかっていたよな気がする。
スッパ。引き寄せてくれて、ありがとう!!!!!!!きょうは知らない人に3回も声をかけることができたよ!!
スッパさんは、一切のネガティブ要素を排除した孤立を「することの!」天才。
わたしの人生の理想像、スッパミュージックへ。愛をこめて!」
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「見知らぬ星の人びとは、厳かな式典や病院の待合室で『UTAUたいたい』をBGMにしているかも知れない。予定調和に慣れている耳を、ニヤリと笑いながらスキップして飛び跳ねていくスッパ星の音楽。地球上の音楽に飽きた人にオススメします。」
まい
「suppaさんの新作を一足早くきいた。とんでもなかった。VOCALOIDには、うまく歌おう、人に近づこうという作り手の邪心がついつい反映されてしまうものだが、VOCALOIDから邪心を消したら人を刺すことがわかった。危険なポルタメントとどこまでも伸びていく不安な声。あなたは何を歌ってるの?新しい。」
「suppaさんの新作「UTAUたいたい」の面白さ、たとえば「味噌汁こぼしちゃった」。さまざま声が「ミソ、シル、コボ、レタ」を繰り返すのだが、それが音素の肌理を訪ね歩くようで、ループとは違う気持ちよさ。「Antoniocarlosjobim」の「トマトケチャップ」って声のなめらかさ、戦慄。 」
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「スッパさんのニューアルバム「UTAUたいたい」を聴いていると、スリリングとは違う「心地良い不安」に駆られる。 例えば何時もの街で通ったことの無い路地に入ったら今どこら辺にいるのか判らなくなってしまった時のような。」
「スッパさんの「UTAU たいたい」毎日聴いている。 特に「てぃきたかぺこぱ」「ふわふわサタデナイ」がお気に入り。
何かに似ていると言うのは、余りにも表現として拙くて申し訳ないのだけれど ・音の質感がテクノデリックぽく感じられた。手触りを感じるような音。 ・どんどん展開していって戻ってこれない感じ(繰り返しはあるけれど)。ドビュッシーの前奏曲集。
スッパさんがUTAUという楽器を出会って、どんな音楽が作れるのかワクワクしながら手探りしているのを感じる。 マウスをクリックして作っているところが想像できない。UTAUもリアルタイムで弾いてメロディーを探し当てているイメージ。」
Senji Niban
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微生物が発酵を続けた結果、 化合物的酵母となりプクプクとしている、途中のあぶくみたいな声が ポリエステルの艶やかだけどもでこぼこのある触り心地の布の上をポコンポコンと滑っていく 懐かしい色と形を混ぜ込んだおゆまるの質感のような音楽 おゆまるで作った人魚がゆらゆらと水槽の中で揺れている 人魚のヒレに小さなあぶくがくっついていたのは知っていたけど、 さっき見たらそれは小さな生物ではないか 生まれた?何が生まれた? 私は自分の目の筋肉を動かしピントを微調整して凝視する 目はないみたい、でも口みたいなものはある 私も食べるよ!という主張を感じる それはそうだよね、と私は独りごとを言って頷いた 数日後、何色かが混ざったところで 何色か混ざって自分の好きな色になった時 私はその生物を水槽から取り出して丸めて耳の中に入れた 少しくすぐったいけれど耳の膜と同化を始めて それはだんだん私の身体に馴染んでいくだろう
聴いていたら、こんな文章が、、書けましたのでお送りします!」
嶺川貴子
「歌になるとは思わなかった音楽が歌になった!という面白さでした!
通勤と帰宅で2回聴きました。夢中になりました、という言葉がありますが、夢で見たけれど言葉にできない部分を連れてきたような内容だと思いました。というのはスッパさんのどの作品にも感じられますが、スッパさんの音楽にでてくる普通じゃない旋律が、女の子が歌うメロディーとして出てきていることが新しいポップな感じを生んでいて感動しました!」
O
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「スッパマイクロパンチョップさんの新作『UTAUたいたい』が先日届いてから何度も聴いている。
ボーカロイドを使用した曲。初音ミクが有名だけど、UTAUは別ものなのか…。
声質によって「重音テト」とか「雪歌ユフ」とかキャラクター名がつけられているのが面白い。
ヴォコーダーとかトーキング・モジュレーターとかオートチューン、機械で変調させた声が好きなのですが、歌声合成ソフトは大元が人の肉声ではない…。
歌に関してはソフトへ音符と歌詞の打ち込み。スッパさんはどこにもいない。なのに、いつも以上にスッパさんの存在感が増している感じがして聴くたびに不思議な気持ち。
歌声合成ソフトで作られた声とスッパさんが一緒に歌っている曲もあって、わけがわからなくなる。
中野テルプシコールで見たノイズオペラ『カスパー』(音楽がEP-4佐藤薫さん、森田潤さん)で、俳優と人形が同時に舞台にいる場面を思い出してしまう。
リズムやアレンジや歌詞の言語感覚がやっぱり素晴らしく、「水木しげる先生のように」の歌詞に感動してしまった。「水木しげる先生のように比較じゃない世界に生きていたい」
肉声も機械で合成された声も、裏表で地続きで一つ…。
スッパさんが阿佐ヶ谷に住んでいたときから使っている銀行口座に代金を振り込んだのも、スッパさん手書きの封筒でCDが届いたのも、全部ひっくるめて楽しい出来事。」
吉浦透
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「Pヴァインからのボカロ・コンピが衝撃だったスッパさんの新作。これはもう人工音声と言うよりは作家の肉声です。でも曲名にボカロのキャラクター名が書いてあるから、やっぱりこの世界で訴えるにはヲタ的な属性も必要なのかな?自分は商品の区別がついてないから、脳裏にはスッパさんの笑顔しか浮かんで来ないが…。どの曲もメロディ・センスが爆発。聴いて楽しかったです^ ^」
森田潤
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「スッパさんこと suppa micro pamchoppの4年ぶりのニューアルバム『UTAUたいたい』、スンバラシイ!!! 「合成音声ライブラリーを多用して制作した歌もの電子POPS」! 良過ぎ! 天才!!」
海老澤諭
一発目にして容赦なく脱力&癒しにかかってきています。
ほらほら、靴なんか脱いで、なんなら裸足で、このリクライニングチェアに横になりなよってな具合に。
透明な水を溜めた、これまた透明な凹凸のないツルッとしたガラスの器に
鮮やかな絵具を垂らしたように、じわっと綺麗な音が広がります。
その心地よさにもたれていると、機械音声と思えないほど自然な発声のUTAUの声で歌唱がはじまります。
(ああああ~、自由を肯定してくれているぅ......ありがとう、ありがとう......。)
といつの間にか何かに感謝をしはじめてる。
この曲は、夜に聴くのがいいです。
■「カウスデンカンベンディー」
これは、夏の天気のいい休日の昼間かな。
黄緑色の葉っぱがついた樹が沢山植わった果樹園か林のようなところで、
チラチラと差し込む光があの人の顔とワンピースに模様を作って、
「見せたいものがあるの」と私の手を引いてどんどん知らない方向へ行くのだけど、
すごくワクワクしながら、水気に溶けた草木や土の匂いをスーッと鼻から吸い込み、彼女についていくのだった。
何回でも聴きたい。
■「カラメル」
雨降りの日の16:00~18:00に、
柔らかい椅子のあるカフェとかで聴きながら読書したい。
スッパさんの声がハッキリと聞き取れる。
ああ、このアルバムに収まった曲の作者だな、間違いない。
だってこんな柔らかく自由な歌声なんだもの。
チェコの人形劇に出演してそうな木製の役者達が、
ハットやお茶目な柄のネクタイでオシャレして
アコーディオンやタイコをセッションしてる秘密のライブ会場に
オモチャサイズにされて招かれ、マッチ箱に腰掛けながらそれを聴いてるような、そうゆう感じです。
そして、聴き終わる頃にはカラメルが少し苦くて卵をいっぱい使ったプリンが食べたくなっている。
■「ふわふわサタデナイ」
メレンゲをオーブンで焼いたお菓子を口いっぱいにほおばってはシュワッと消えていく。
それを、少し苦い濃いめの紅茶で口直しして...。
気取らない塗装の白い壁の外人住宅で開かれるホームパーティーに招待状をもらい、
夏の夕方にポツポツと人が集まりはじめる。
小さなミラーボールがばら撒く水玉模様のような光と、
天井から吊るしたアルミ製の飾りがキラキラとゆれて、
サングリアを淹れたグラスは汗をかいて木製の机に染みを作り、
至極プライベートなこっそり面白い夜はふけゆくのであった...。
詩はすっごくよきです。
私もりんごジュースキメて嫌なこと言うヤツ跳ね飛ばして夜のドライブでかけっかー!ってなる!
最後のギターの音たまらなく好きです。
■「ムズムズ・スルー」
あれ、宇宙船のようなデザインの、夜しか入れない深海生物だけを集めた水族館に迷い込んだぞ。
ボワァッと光る床を頼りに奥へ進むと、次から次へと珍しい色形の魚達が視界に入ってくる。
ふと見れば、通路の途中で防護服のような妙な恰好の係員が手招きしている。
誘われるままに彼の隣の分厚いカーテンを三度ほどくぐると、
とっても大きなアンモナイトが回転しながら部屋の真ん中に浮いていて、
それを眺めながら私はボンヤリと、「地上に帰ったらアレやろう」と思ったのだった...。
■「半魚人」
わかります。春のまだ少し寒い朝10時ですね。
人魚になったかこいちゃんが金魚鉢みたいな水槽の中に入れられてて、
一人ぼっちで退屈な彼女に毎週お花や本や面白い雑貨を持っていくのだけど、
お別れ時に彼女はやっぱり寂しそうな顔をするんだ。
■「地球の午后三時」
これは、楽しい午后三時。
テレビは砂嵐でネットのお友達みんなも寝静まってしまうけど、全然さみしくない。
何故ならその時間から朝までは、小さくてカラフルな不思議な生き物達がお茶会をしていて、
私もその末席にお呼ばれするからだ。
今日は私の大好きなリボンパスタとアンチョビのサラダとヒューガルデンがあるらしい。
■「神からのおすすめ」
冬の深夜4:00にソファに沈み観たカートゥーンネットワークの、
深海でタコと追いかけっこしてる様子を観てるときの気持ちになりました。
そのまま朝を迎えて、冬の柔らかくて曖昧な朝日を浴びる私の背中に母がおはようと挨拶するのでした。
■「水木しげる先生のように」
白く薄いレースのカーテンが何重にも垂らされた通路をくぐると、
ロウソクやイルミネーションライトで柔らかく照らされた、
真っ白くて四角い部屋の中央に木の揺り椅子があって、
それを囲むように、手のひらほどの人形・ぬいぐるみ達が楽器をもってこちらをワクワクとした瞳で見つめている。
私が椅子に腰かけると、指揮者の人形が「カチ、カチッ」と小さな指揮棒で楽譜置きを叩いて、
そこからほどなくして演奏が始まった。
詩は、とっても「うん、うん!」って感じです。
比較も糾弾も断罪もない曖昧でカラフルなとこにいたいですね、と思うのでした。
■「猫猫猫猫」
これは紛うことなき深夜の音。
秋のはじめにキャンプで来たコテージで、
ハシゴを登って屋根裏に行くと窓からは満天の星が見えて、
オレンジ色の小さなランプを頼りに布団の中で抽象的な話の小説を読んで
瞼が落ちるのを待っている時に流れていて欲しい音。
猫は多分コテージの外で鳴いてる。
■「味噌汁こぼしちゃった」
90年代の「あー3Dだw」って分かるカックカクの3Dで、
朝ごはんに食べていた味噌汁がスローモーションで床に落ちるまでを描いた映像を観てるようです。
あ~床に落ちる!と思ったらこぼす前に巻き戻ったり、
突然空中でストップして解析映像のようなエフェクトが出たりするんですよね?
そんな、「THE・近未来・テクノ」な像を想起させる音です。
■「ANTONIOCALROSJOBIN」
宇宙船での生活って感じの音楽です。
もっというと、宇宙船生活になっても人間夜更かしはやめらんねーな!って感じで...。
や、そもそも宇宙船なんて四六時中星空しか見えないんじゃないか。
朝はいつ来るんだろう。
ま、でもそんなんどうでもいいのだ。だってここ無重力だし。ふわふわ~。ってな。
■「おしまいだよはじまりだよ」
いきなり春の農園の少し肌寒く空気の透き通った朝。
農園の隅に建つ小さな家の中、
マグカップでコンソメスープを飲みながらメカニカルキーボードを叩いて仕事を始めるのですが、
パスワード忘れちゃったんですよね。
ポカーン、としていたら、いつものようにベランダの窓から勝手にあひるが入ってきて、
ズボンの裾をついばんで朝ごはんを催促します。
なので、「ま、朝ごはんの後でいっかな」と呟いて私は、
あひると自分の朝ごはんを用意するためキッチンに向かって何事もなく朝を始めるのです。
目を閉じて耳を澄まして聴いて欲しい曲です。
視覚情報に負けそうなほど小さく微かで、けれど綺麗な音が鳴っているから。
■「ウソかマコトか」
これは、冬の夜ですね。
チーズフォンデュとウォッカを囲みながらトランプやチェスで遊んでるんです。
外は大雪だからね。
おやつはシュトーレンです。そう、年末なんですよ。
机の上にはラッピングの上に無造作に置かれた本やアルコールランプや料理が並んでいて...。
はっぴー、めりー、くりすます。
とか受信していたら、歌詞見たら全然違う感じで深夜に一人笑いました。」
「ユーモアとお洒落と驚きが詰まった最強のアルバム。やり過ぎないけどやっちゃってる巧妙で絶妙なバランス感覚に大人のセンスが光る。スッパワールドはアルバムでこそ本当の力を発揮するのだ!こんな作品聴いたことない。是非、音楽好きの友人にプレゼントしたいものだ。 」
Dan Shimizu
「不快の快というか快の不快というか。一見とっつきづらそうな音楽でありながら、ポップでもあり、根底にとてもポジティブなものを感じる。どうしたらこんな音楽ができるんだろ。」
Soichiro Irie
「スッパさんの新譜、無重力/反重力、カラフル、揺らぎ、マインドパンク、こういうキーワードで引っかかる人はきっと夢中になる超素敵音。
無菌室にやさしく漂うバグのもやもや、みたいなセンスと匙加減、歌詞の適温の強度、すごくいまの私に共鳴します。スッパさんの音にはアート性強い作品でも根っこに置いてきぼりにしないフレンドリーさが感じられてそこが好き。ロックバンド編成でこういう感覚を出したいものです。」
赤倉滋
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「スッパさんにしか作れない新しいボカロを作りましたね。
昨晩は、ご飯食べながら聴いたので、子供と遊びながら聴いたり、
N
Soichiro Irie
「スッパさんの新作「UTAUたいたい」まだしっかり聴き込めてないけど、色々興味深い。ボカロが主役で、ボカロには何の興味もないけど、スッパさんがシンセ使うとスッパ色になるように、ボカロもスッパ色に。いわゆるボカロというよりは新しい楽器みたいな。ボコーダーを初めて知った時のような面白味。」
ジャンル的には先にリリースされていたコンピで提唱されていた 合成音声ONGAKUの世界 に連なる作品ではあるけれど、とてもよく出来たエキゾチックなポップス・アルバムだと感じました。 ただ、あのコンピレーション『合成音声ONGAKUの世界』と比べると、若干聴き手を選ぶ作品な気がします。
まあ、聴いて行くとスルメのように“噛めば噛むほど味が出てくる”アルバムではあると思いますし、個人的にはとても好きな世界観を持った作品であると思いますが…。」
@AKR_FITW
「今夜のドライブ、えっ? コンビニまでいいのですか?
助手に座る彼女は宇宙から来た不思議ちゃん。
なんの作為も無く本心で言うのだから素敵だよ。
スッパマイクロパンチョップの最新アルバム『UTAUたいたい』の何者にも媚びない自由さに感動する。好きだよ」
「スッパの宇宙からのインスピレーション受信最新アルバム『UTAUたいたい』を聴いていたら、なぜか『うる星やつら』のオープニング曲とか、ピンクレディの『UFO』思い出しちゃう。
出会った時の衝撃も共通な気がする。
どんなのか聴いてみたくて探したら、ピンクレディが2011年に復活ライブしてたの知らなくて、驚いた! 時空超えてる感じ。何歳ですか?って。
これらは皆、時空を超えるってことなんだな。」
脇田恭生
「聴きました。本当素晴らしい。音楽を作る立場の人間としてはちょっと嫌な気分になるぐらい格好いいです。歳をとってきてレイドバックしがちなんですけど、スッパさんはそうなってなくて本当見習わないと。」
T
無機質でもあるけれど、妙に人懐っこくてファンキーで好きです!
ボカロが歌の代用としてではなく、ボカロらしいものとして、
かつ今までない形で魅力的で、かっこ良いですね!!」
Y
私は、物にも意識があると時々ふと思ったりするのですが、そういう物たちが歌っているようにも感じました。それでいて、スッパさんの音づくりは、ボカロ曲というより、人間味がある気がしています。」
村崎シヲン
新作CDアルバム『UTAUたいたい』について
この度 suppa micro pamchopp として4年前の『わたしはオルガン』以来の新録オリジナルCDアルバムが6月5日から販売開始されました。
アルバムタイトルは『UTAUたいたい』。合成音声ライブラリーを多用して2017年9月から2018年4月の間に制作した歌もの楽曲14曲を収録しています。
"UTAU"というのは、DAW(作曲用ソフト)で作曲する中でvocalパートを想定して打ち込んだピアノロール旋律のMIDIデータを、様々な声のキャラクターに変換し更に歌詞情報を加えて歌声データにすることのできる歌声合成ソフトのことです(私はmacなのでmac用の"UTAU-Synth"を使用)。声のキャラクターの権利者は個々に規約同意してもらった上で発声ライブラリーを無償提供しており、このアルバムの中では 重音テト・透音・ORIGAMI-I・雨月・雪歌ユフ・彩音ゆめ・詠音ユキ・暗鳴ニュイ・透音・雪眠ミユ・塩音ルト・滲音かこい の12のライブラリーをVOCAL及びコーラスに迎え、曲によっては私自身も合成音声と一緒に歌っています。
私は、多作で日常的に作曲習慣があるかのようなイメージを持たれることが多いのですが、そうでもなく、依頼があったり自分で課題を設けるきっかけがあったりしないことには作曲しないタイプです。ここ数年はDAWに向かう時というのはmixtapeをつくる時と人様の楽曲に携わる時くらいで新曲はたまにしか作っていませんでした。音楽を始めた当初から今までに、テレコを買っては・カセットMTRを買っては・ハードディスクレコーダーを買っては・パソコンを買っては・何か新しい楽器を借りたり拾ったりしては と、新しいツールのゲットをきっかけにその数ヶ月間創作モチベーションが高まり、その録音の集積が今までのアルバムだったりします。なので、今回のアルバムは2017年8月に私がyeahyoutoo、puhyuneco、鈴鳴家、みみみエナ、ぐらんびあ、cat nap、などのエポックな合成音声ONGAKUに出会ったことをきっかけにしてUTAUという合成音声ツールを知り、自分でもボカロがすぐに作れてしまうという興奮が持続したことで短期間に作り上げることができた という感じです。
私はロックバンドやジャズ的なユニットのvocalをつとめたりもしてますから、歌い手としての私のテイストを好いてくれてる方には「なんで自分で歌ってないの?」と不満に思われるかもしれません。
ボーカロイドやUTAUの歌声というのはそれを扱う人の個性や技量による差こそあれ、総じて言えることとして、人間のvocalに含まれがちな過剰な感情表現(=スタイリッシュなエモ表現)が入り込まないこと、歌声として極めて透明であることが特徴としてあります。透明な歌声でこそ綺麗に感じる旋律というのはとても多いです。いや、逆に旋律を余分な色を加えず無色無エゴで歌える人間がとても少ない ということかもしれません。ボーカロイドには上手く歌って悦に浸ろうとするような邪心がないのです。そして、音域の幅が広いので、音源の性別に合わせてキーを考える必要もなく、作曲者としては、自分向きな曲でも誰向きな曲でもない自由なタッチの歌を作ることができて、普段とは違う、意外で新境地な作風の楽曲が出来やすいものだと思います。なので、音声合成ツールを使ったことのないDTMer(作曲する人)には試しにボカロ曲を作ってみればいいじゃんと、強くおすすめしたい気持ちです。合成音声に歌ってもらって初めて知る感動がきっとあります。アルバムタイトルに"UTAU"という言葉を入れてるのは、UTAUというツールやその名前をボカロ的音楽にこれまで興味なかった人にも知らせたい気持ちから入れています。
『UTAUたいたい』の"たいたい"とは...なんのことでしょう? "役にたちたい"のたい・"一石を投じたい"のたい・"唄いたい"のたい・"創りたい"のたい・”踊りたい”のたい・”聴きたい”のたい・”知りたい"のたい”・"触りたい”のたい とか、何かを能動的にしたい気持ち全部を"taitai"に当てはめられるようにということと、「utautaitai」と発音した語感が楽しいかなと。積極的に発声したくなるような。なんとなくハマった気がしてしっくりきています。
どんな曲が入ってるの?っという人はこの「カウスデンカンベンディー」という曲だけでも聴いてみてください。
一番聴いてほしい曲です。自分でも何度聴いても飽きないし不思議感が薄れません。
"カウスデンカンベンディー"とは、"おめでとう"という意味です。
congratulations(英語でおめでとうの意)
ขอแสดงความยินดี(タイ語おめでとうの意)
Félicitations(フランス語でおめでとうの意)
タイ語に詳しい人には「ขอแสดงความยินดีの読みは”カウスデンカンベンディー”じゃないよ」と言われるかもしれません。これは翻訳ソフトで発音させた音を私が聞き取ると「カウスデンカンベンディー」に聞きとれた、という程度の書き言葉です。
私は常々不思議なPOPSを求めています。かつて聴いたことないような自分にとって新感覚な音楽。作られた時期が古かろうが少し前だろうがつい最近だろうが、聴く者にとって「何これ?」とエキゾチックに思えるものは全てその人にとって新しい音楽です。ですから私は、何かこんな曲が作りたいというモデルをトレースするようなことは無く、自分の可能性に注目しています。他人にも期待していますが、何より自分からも未知な形が生まれる可能性を信じられるという1点を根拠に長年音楽行為をしているのです。そんな私にとって、合成音声ツールは今までと違う何かを産むにはうってつけでした。歌詞世界においても何か人ごとのように受け取れる透明な言葉が引き寄せられたような気がしています。
半年の間に作った曲達をアルバムにまとめてみて、個々の曲の存在の説得力は明らかに増しました。動画で多くの曲をすでに聴いてくれてる人にとっても、アルバムとして聴いてもらわないと伝わらない部分が大きいでしょう。トータルで1曲の不思議交響曲 ということにしたいです。分数は約40分。理想的な尺です。私の昔のアルバムは皆74分とか目一杯入ってるものが多いので、短い曲やコンパクトなアルバムができると充実感ががあってホクホクします。大人になったな と(笑)
ジャケットは見開き紙ジャケ仕様、価格は税込2,000円 。
アートワークも全部私が1人でやりました。ここ数年で、多くの素晴らしいCD作品のアートワークを担当させてもらいましたが、自分の作品なのでここぞとばかりシンプルなデザインにしました。音楽の内容に相応しい心地好く、かつ、巷に溢れる主張の多いデザインやイラストに一石を投じられる静かに攻めたパッケージにできたと自負しております。裏ジャケやインナージャケ(歌詞入り)と盤面のデザインあってこその表ジャケなので、アートワーク的にも入手した人にしか伝わらない良さがあるんです とアピールしておきたいです。扱いに困る帯は付いていないし、歌詞カードを取り出す手間も要らないし、薄くて、紙ジャケットにしてはしっかりした厚紙で破れにくく、とてもイイカンジ。CDが再生できない環境の方には音源データも差し上げますから一部屋に一冊ぜひどうぞ。データだけ所持して実物のCDは誰かにプレゼントするのも有りじゃないでしょうか。
「ボカロのアルバムかー、じゃあ自分は好きじゃないかも」と思う方もいるかもしれません。私が1998年にデビューCDをリリースした(!今年デビュー20周年...)元祖エレクトロニカレーベルChildiscのレーベルオーナー竹村延和の2002年の名盤『10th』はスピーチソフトを使用したヘンタイ歌物電子POPでしたが、あれは言わば竹村延和による元祖ボカロアルバムのようなものじゃないですか。『UTAUたいたい』は"ボカロ"といっても『10th』寄りの、有名ボカロ曲のイメージとは全く違うテイストのストレンジポップミュージックです。ぜひ興味持って聴いてみてほしいです。
『UTAUたいたい』は現状ストリーミングや流通の予定はありません。レコード水越の今までのCDアルバム同様、手売りと通信販売と出張販売が基本ですので、どうぞ私に直接ご注文ください。
『UTAUたいたい』の収録曲は既にニコニコ動画やYouTubeで発表済みの曲も多いですが、ほとんどの曲はCD用に再MIXしてます(ただのマスタリングではないということです)。動画版より心地よく聴けるような音になっています。曲によっては尺をより長く編集した曲もあります。
この優しい天国的ふわふわ感の14曲の優しいサイケデリックアルバムをぜひお手元へ。
通販予約→suppasuppa@gmail.com (レコード水越)まで
| 収録曲と使用ライブラリーとMV |
1 てぃきたかぺこぱ:雪眠ミユ・彩音ゆめ・暗鳴ニュイ・透音
2 カウスデンカンベンディー:雪眠ミユ・彩音ゆめ
3 カラメル:雨月・名前のないこ・(suppa)
4 ふわふわサタデナイ:重音テト・雪歌ユフ
5 ムズムズ・スルー:塩音ルト ・詠音ユキ ・暗鳴ニュイ
6 半魚人:滲音かこい
7 地球の午后三時:重音テト
8 神からのおすすめ:透音・ORIGAMI-I・雨月・(suppa)
9 水木しげる先生のように:雨月・ORIGAMI-I・塩音ルト
10 猫猫猫猫:雪歌ユフ
11 味噌汁こぼしちゃった:彩音ゆめ・詠音ユキ
12 ANTONIOCALROSJOBIM:雪歌ユフ
13 おしまいだよはじまりだよ:雪歌ユフ
14 ウソかマコトか:ORIGAMI-I
UTAUたいたい 聴いた方からのコメント集
2018.6/2 1時更新
広い世界
先日3/14、Pヴァインより私監修によるボカロコンピ「合成音声ONGAKUの世界」がリリースされました。
それに対するレスポンスとして、きび(kids-bigup)さん、茜涼夏(泡沫たんぽぽ)さん、utakiki(kikimimi)さん らがブログで記事を書いてくれました。
きびさんは「自分がもしコンピを作るなら、どういう構成にするか」と考えアナザーコンピリストを作ってくれました。嬉しいですね。「合成音声ONGAKUの世界」の方は、ボカロを聴いてこなかった人向けに編んでいるので、既にボカロをヘヴィーに聴かれてる方からは正にそんな反応が欲しかったので、ありがたいです。
「Hello World」世界を拓くためのボカロ曲 サプリコンピ:KIDS-BIGUP.inc - ブロマガ
utakikiさんは「往年の有名ボカロ曲の美味しいところだけ切りとった"ボカロへの偏見がはかどるコンピ"」リストを作ってくれました。「ボカロへの偏見が消えるCD(合成音声ONGAKUの世界)」のコアなボカロの世界と「ボカロへの偏見がはかどるコンピ」のポピュラーなサイドと両方合わせて聴いてもらうことで合成音声ONGAKUの奥行きを相互補完できて良いですよねー。
「ボカロへの偏見がはかどるコンピ」:うた聴き:ボカロ曲紹介ブロマガ - ブロマガ
茜涼夏さんは「合成音声ONGAKUの世界」収録曲の全曲への細やかな感想・解説 に加えて、各曲に対してその曲が気に入った人へまた別のおすすめボカロ曲を案内してくれていて、それはビギナーにとってより世界を広げる窓口を用意してくれてるということで、とてもありがたい記事になってます。
ただのボカロ好きが「合成音声ONGAKUの世界」をのぞいてみた #vocanote - 音のまにまに
今回のコンピリリース後、ツイッター検索を駆使して把握するところでは、大方は以前からボカロに親しんできている人が書籍「ボーカロイド音楽の世界 2017」と合わせて買ってくれているような感触です。もっともっとボカロが好きじゃない人の耳に届けたいものですが。
それでも現状は音楽リスニングライフのほとんどをボカロに費やしてる方が購入者には多そうなので、逆に今回私は、既に「合成音声ONGAKUの世界」は聴いてもらえてると仮定して、各収録曲から連想する合成音声ONGAKUではない音楽を紹介してみようと思います。仮想ターゲットはボカロネイティブな、ボカロ以外の音楽を本当にほとんど知らない人向けに。
詳しいことは説明しないので、もし聴いて気になったら興味の向くままに深掘りしてみてもらえたら嬉しいし、きっと楽しいです。
#1 春野 / “nuit” から連想するのは、
Stina Nordenstam の音楽です。いや、別にこの曲がnuitに似てるとかいうわけじゃないです。春野さんの楽曲の静けさとスケールの大きさから私はStina Nordenstam を連想する というだけですが。
#2 Treow / “Blindness” から連想するのは、
Jaga Jazzist の音楽です。ほんとは「Stardust Hotel」の打ち込みによるdemoヴァージョンの方がTreowさんの音に近いんですけどYouTubeにはなかったのでオリジナルの生バンドヴァージョンです。Jaga Jazzist もTreow(現在はELECTROCUTICA名義)も繊細かつ壮大な世界観が共通してる気がします。
#3 piptotap / “春 etc.” から連想するのは、
Vampire Weekend です。個人的にはVampire Weekendよりpiptotaoの曲の方が面白いんですけど、この曲はサウンドが似てな〜い?って感じで連想しました。
#4 羽生まゐご / “阿吽のビーツ” から連想するのは、
Dirty Projectors です。全然似てね〜 って思った?(笑)まあ、piptotaoにダープロでもよかったんですけど、「阿吽のビーツ」のユニークな音使いとは共通点あると思います。結構Dirty Projectorsみたいなモダンな音楽を好む人向けに編んでるとこはあります、「合成音声ONGAKUの世界」は。
#5 拓巳 / “Kaleidoscope” から連想するのは、
The Flaming Lips です。イケイケではない ROCK代表。
#6 cat nap / “ペシュテ” から連想するのは、
トルネード竜巻 です。全然違うっちゃ違うんですけど、メロディーフェチにはたまらない曲がいっぱいあります。
#7 鈴鳴家 / “フリーはフリーダム” から連想するのは、
RCサクセション です。自由っつったらこれでしょ、やっぱり。言ってることは同じです。
#8 松傘、mayrock、sagishi、緊急ゆるポート、trampdog / “人間たち” から連想するのは、
D'Angelo(ディアンジェロ)です。Hiatus Kaiyote とかもおすすめ
。すんごい踊れます。
#9 でんの子P / “World is NOT beautiful” から連想するのは、
エルメート・パスコアル です。パスコアルの曲でもたまに“World is NOT beautiful” 的な音遊びっぽい曲があります。
#10 のうん / “箒星” から連想するのは、
Robert Wyatt です。ワイアットは良いですよ〜〜〜。
#11 ぐらんびあ / “孤独、すべて欲しい” から連想するのは、
Tom Waits です。疾走感があるというだけで頭に浮かびました(笑)ぐらんびあとトムウェイツは親和性ないかもしれないくらい別物ですが。でも、トムウェイツはいいですよ。
#12 キャプテンミライ / “イリュージョン” から連想するのは、
Mild High Club です。キャプテンミライの曲にグッとくるならサイケPOP好きかもしれません。Mild High Club はレトロな感触ですが最近のバンドです。
#13 Dixie Flatline / “シュガーバイン” から連想するのは、
Mari Wilson の「Just What I Always Wanted」 です。まあMari Wilsonよりも掘ってほしいのはMari WilsonをプロデュースしていたTot Taylor です。私はTot Taylor が大大大好きなんです。全盛期は80年代です。
#14 yeahyoutoo / “lean on you” から連想するのは、
syrup16g です。yeahyoutooさんがシロップ好きなことを知ってるからかもしれませんが、影響は感じます。
#15 Noko / “只今” から連想するのは、
Prince です。Princeの曲で最も静かで美しいこの曲が浮かびます。
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いかがでしたか? 知ってるアーティストの知ってる曲ばっかりだったとしても、私が「合成音声ONGAKUの世界」で選曲した音楽とこれらの曲が繋がることに意外性とか発見とか、いやいやもっとこんなアーティストを紹介すべきでしょーが的反論とか、なんかありましたか? もし気が向いたら、またこの記事の反応としてのブログを書いてくれたりする方がいたら面白いなーと少し期待してます。
ボカロPであるMSSサウンドシステムさんも最近はnoteでボカロ内外のHIPHOP曲を色んな切り口で紹介しています。
耳がHIPHOPの人|MSS Sound System|note
あんな人もこんな人もHIPHOP|MSS Sound System|note
ROCKとHIPHOPの邂逅|MSS Sound System|note
他、書籍「ボーカロイド音楽の世界 2017」でレヴューをされているキュウさんによる「私だったら」な選曲マイリストもおすすめです。
同じく、書籍「ボーカロイド音楽の世界 2017」執筆者でもありボカロPであるヒッキーPさんによる「私だったら」な脳内コンピマイリストはこちら
合成音声ONGAKUの世界 by ヒッキーP(大高丈宙) - ニコニコ動画
書籍「ボーカロイド音楽の世界 2017」では「The 50 Essential Songs of 2017」と「Albums of 2017」というボカロ曲とアルバムのレヴューコーナーがあり、そこが売りでもあります。しかし、聴きたい曲をいちいち検索するのは大変です。そこで、ボカロPの平田義久さんが一気に全曲全アルバム一つのリストにまとめてくれてますのでこちらもぜひお時間ある時にご拝聴下さい。
The 50 Essential Songs of 2017 ( from The World of Vocaloid Music 2017 ) by 平田義久 - ニコニコ動画
The 20 Essential Albums of 2017 ( from The World of Vocaloid Music 2017 ) by 平田義久 - ニコニコ動画
ボカロに関するブログ記事を書いた際は #vocanote というタグをつけて宣伝すると読んでくれる人が増えるかもしれませんので、そんな内容の記事の投稿ではぜひ#vocanote タグつけてみてください。
5. V.A. 『合成音声ONGAKUの世界』試聴室
ビッグニュースです。
3/14にele-king booksより刊行予定の書籍『ボーカロイド音楽2017(仮)』と併せて、ボカロの偏見が消えるボカロコンピ『合成音声ONGAKUの世界』が私スッパマイクロパンチョップ(@suppasan)の監修/選曲/デザインでP-VINE RECORDSから発売されることが決定しました。
2018年3月14日 発売
PCD-20389 V.A. / 合成音声ONGAKUの世界
全15曲収録
¥2,000+税
タワーレコード、ディスクユニオン、HMV、アマゾン、等で予約可
http://p-vine.jp/news/20180126-171239
『ボーカロイド音楽2017(仮)』と昨年の『別冊ele-king 初音ミク10周年』の監修も務めているしまさん(@shima_10shi)からの指名で、「ボカロに触れたことのない音楽ファンにも、ボカロものにも音楽ファンが楽しめるいろいろな曲があるんだよ、ということが伝わるようなボーカロイド音楽のコンピレーションCD」というコンセプトに沿った選曲/監修を担当させてもらいました。
しまさんはボカロ批評家であるだけに留まらず、深いところからの合成音声ONGAKUシーンの活性化に力を注いでおられる素晴らしい方ですから、そんなしまさんが今回の選曲を私に期待して託してくれたことはとても光栄で嬉しいことです。
その「ボカロに触れたことのない音楽ファンにも、ボカロものにも音楽ファンが楽しめるいろいろな曲があるんだよ、ということが伝わるような」というコンセプトは、正に私がMixcloudで発表してきた"ボカロの偏見が消えるMIX”としての「VOCALOIDmixtape」シリーズや、このブログ「合成音声ONGAKUパラダイス」や、ヒッキーP(@hikkie_lax)と私によるトークイベント「でたらめ音楽教室・課外授業《ボカロ》」と、ほとんど同じテーマであると言えます。
今回のコンピの販売元であるP-VINE RECORDSさんは幅広いジャンルの音楽作品をリリースしており、ブルース・ROCK・ R&B・JAZZ のスーパーレジェンド達の作品だけではなく、ダーティープロジェクターズ、ディアフーフ、石橋英子、OGRE YOU ASSHOLE、寺尾紗穂、入江陽、柴田聡子、等多くの先鋭的で優秀なインディペンデントミュージシャン・バンドの作品も扱っています。
レーベル買いを意識していなかったとしてもCD棚がいつの間にかP-VINEものばかりになってしまっている音楽ファンはとても多いんじゃないでしょうか。
『合成音声ONGAKUの世界』は、P-VINE RECORDSがリリースしているアーティストのアルバムに少しでも好きなものがあるなら(無いなどという人はいないでしょうが... )気に入ってもらえるような、合成音声の歌ものであるか人間の歌ものであるかといったことも意識に上がらないほど当たり前に普通の良い音楽として生活の中で流せる普遍的なPOPSを集めました。
ここ10年の間で蓄積された合成音声ONGAKUのアーカイブは、どのようなテーマででもコンピを編めるほどの多様性に富んでいるので、たった1枚のコンピレーションでは合成音声ONGAKUのほんの一側面しか伝えられないんですけど、できる限り「聴く人を選ばない」良きバランスになるように意識しました。
アップテンポでも煩くない、高度な構成でも耳馴染みが優しい、どんな時間帯に小さくかけても大きくかけても心地よく聴けるサウンドでありながら、同時にエキサイティングでモダンなエッセンスのある、ボカロをイメージだけで敬遠していたような人が聴いたら驚いてそっと良いイメージに更新せざるおえないような、、そんな楽曲達。
個人的な自分の趣味性だけで選ぶボカロベストであったりとか、ほぼほぼ連絡はつかないであろう作り手(正直いって実際とても多い...)の曲も含めてもいい、という条件でピックアップするならまた全然違う並びにはなるでしょう。
合成音声ONGAKUでは、歌詞が聴き取りにくい場合も少なくはなく、だからこそ動画と歌詞のテロップとがセットになった発表の仕方がポピュラーだったりします。
今回のコンピCDには勿論歌詞のブックレットが付いてきますが、基本的には音だけで楽しんでもらうものとなるわけです。
使われている音源ライブラリーのキャラクター性ともあえて切り離したビジュアルになる予定なので、純粋に音だけで聴かれるそのストイックさに耐えうるだけの、映像の力を必要としない、独立した魅力が備わった楽曲であるに越したことはないでしょう。
(合成音声ONGAKUに詳しいあなたなら、現状ボカロを敬遠している音楽ファンに対してどんな組み合わせの15曲を聴いてもらえたら心の壁を撤去してくれると思いますか?)
以下、各収録曲の動画を貼ります。
どうぞこの素晴らしい世界に触れてみてください。
(曲によっては収録されるヴァージョンとは違うものも有ります)
www.youtube.com01.春野 「nuit」 (17.12/4)
静寂と脈動
www.youtube.com02.Treow 「Blindness」 (09.9/4)
合成音声ONGAKU究極のクラシックナンバー
ELECTROCUTICA » Official Website » Piece of Cipher +/-
www.nicovideo.jp03.piptotao 「春 etc.」 (17.4/26)
Pip(作詞,セクシー)とTao(作曲と絵)による2人ユニット
Piptotao | Pip tao | Free Listening on SoundCloud
www.youtube.com04.羽生まゐご 「阿吽のビーツ」 (17.8/19)
求心力の強いメロディーと独特な音使いの魅力
羽生まゐご (@maigo_hanyuu) | Twitter
www.youtube.com05.拓巳 「Kaleidoscope」 (16.4/10)
美しいマスターピース
www.youtube.com06.cat nap 「ぺシュテ」 (17.3/2)
ねこむら(曲)とねこみ(詩)による2人ユニット
ねこみ🍢 (@kirin_no_tom) | Twitter
www.nicovideo.jp07.鈴鳴家 「フリーはフリーダム」 (16.3/9)
モダンでトリッキーな歌謡HIPHOPを得意とする「円盤P」の強力にキャッチーなヒット曲
www.nicovideo.jp08.松傘, mayrock,sagishi,緊急ゆるポート, trampdog 「人間たち」 (16.12/30)
しまさんのレーベル”stripeless"のV.A. 『MIKUHOP LP2:Border』より
合成音声HIPHOP界のエピックなコラボレーション
MIKUHOP LP2:Border | Stripeless
www.nicovideo.jp09.でんの子P 「World is NOT beautiful」 (14.9/21)
問題作連発のPOPなトリックスターでんの子
www.youtube.com10.のうん 「箒星」 (16.7/7)
内省の空に人知れず光る一筋の彗星
www.youtube.com11.ぐらんびあ 「孤独、すべて欲しい」 (17.3/2)
堪らない疾走感
www.nicovideo.jp12.キャプテンミライ 「イリュージョン」 (08.10/14)
歴史に太字で刻まれるべき普遍的名曲
キャプテンミライさんにDTM環境と宅録歴を聞いてみた : 藤本健の“DTMステーション”
www.nicovideo.jp13.Dixie Flatline 「シュガーバイン」 (15.3/19)
多くの人に歌い継がれている近年のPOPスタンダード
14.yeahyoutoo 「lean on you」 (17.8/10)
鬼才「ケイシャー」のロマンティックでワンアンドオンリーな世界
[flawless circle] | yeahyoutoo
www.nicovideo.jp15.Noko 「只今」 (17.6/28)
この優しさに許されてください
もし、このコンピが売れたならP-VINE RECORDSさんからであることだし、平成の幻の名盤解放歌集的にシリーズ化も可能かもしれません(なって欲しい!!)。これらの曲が収録されたCDなら持っていたいと思われた方はぜひすぐにご予約ください。
4. みみみエナ
ニコニコ動画の合成音声ONGAKU投稿には、何をもってそう云うかは置いといて、ハイセンス・ハイクオルティな神曲が最も求められているように感じられる。有名Pなどではなくてもハイクオルティさが認められれば話題を呼び再生回数がものを言う。投稿した日に四桁を超えることもありえる。そういう作品は聴けば納得のPOPさが必ず確認できる。
しかし、ある意味スーパーハイセンス・ハイクオルティではあってもイマイチ再生回数の伸びない類の凄いPの数の方が多いのではないか。そこにはどんな差があるのか。
それなりのわかりやすいギミックの有無 かもしれない。わかりやすさというのは「よく知られた」「既知の」「従来のポップスの雛形に沿った」で、そこに完成度やプロっぽさやノリの良さやキャッチーさが兼ね備わった楽曲であることがヒットの条件なのかもしれない。
先鋭的にPOPな表現をすることこそにモチベーションを感じるタイプのPが、「よく知られた」「既知の」「従来のポップスの雛形に沿った」スタイルで曲を作らなければならなかったとしたらそのヤラシさに罪悪感を感じてしまうんじゃないだろうか。仕事となれば割り切ることもできるだろうけど。
みみみエナ - ミスった 2017/7/11
みみみエナの曲はパソコンやスマホのしょぼいスピーカーで鳴らしてでさえもインパクトの強いボディーミュージックだ。
私はクラブで大音響でかけたこともあるし、かける前からわかってもいたことだが、みみみエナの曲はどれも音響的にも構造的にも極めてファンキーで、激踊れる最強の快感音楽だ。現在のクラブ系音楽シーンを見渡しても突出してて、日本を代表させたくなるほどの個性的なダンスミュージックである。
ディスコや四つ打ちやブレイクビーツのような単純なビートでしか踊れないっていう人には”ナニコレ? 踊れないんだけど...”かもしれないが、ラテン音楽が好きな人なら体が動かざるおえない律動をビシビシ感じるでしょう。
しかし、みみみエナの曲は確信的にイメージやプラン通りに作られた音の彫刻ではきっとない。もっとラフに、日記のように、寝る前にひとゲーム、、ってなノリで、遊んでたら偶然こうなった、みたいなスポーティーかつ感覚的な作りであるような気がする。退屈さは皆無なのに、それほど構築したものではなさそうなところが恐るべしな才能。力量からすれば一筆書き程度の力しか使ってなさそうな。
実際作品には番号がふってあり、「報告その23」とかの表記で、マイリストのタイトルも「日記」となっている。正に"感覚が音になったような"(by tamaGOさん) 音楽と言える。
ボーカルは初音ミクが使用されていても、まあ、歌未満なコラージュ感ある散文リーディング的な声の使い方なので、合成音声ONGAKUというよりはインストに近いし、単に異色な(変態)エレクトロといった方が正しいのかもしれない。
みみみエナ - 1センチ 2015/10/12
みみみエナのインパクトは沢山の種類の音楽を聴いている者ほど響くものがあるかもしれない。そうでない者には完全に想定外な音楽で、未知なノリを前にして唖然としちゃうかも? 大勢がボカロに求めるスタイルから大きく逸脱しているが故に自分とは関係のない音楽だ と なるのだろうか。
ボカロシーンにおいて"可愛い"は超重要項目。確信犯的ボカロマエストロ(きくお/anomimi/ムシぴ/ etc)は"可愛い"音を意識的にスタイリッシュに配置してリスナーの琴線を鳴らす。だが、みみみエナの曲には可愛いと認定できる記号的音色は全く使われない(認められるとすれば初音ミクの声だけ)。可愛い音が無いのに明るい。暗く無い。風通しもいい。プリミティブな勢いがある。よってアングラ感も感じない。軽率な者はアングラとカテゴライズするだろうけど。
みみみエナの曲へのコメントに"陽の当たるアンダーグラウンド"というコメントがあったが、それならわかる。というか、『"陽の当たるアンダーグラウンド"な音楽にはアングラというカテゴライズが似合わない』と主張したくてたまらない。
"この世にまだない曲を作るために作曲を始める"(by u260さん)ボカロPの曲にも陽が当たってもらわなければ困る。
突き抜け感がある"陽の当たるアンダーグラウンド"な作品がニコニコ動画には沢山埋もれている。
みみみエナ - てんとてん 2015/12/12
Puhyuneco についての回の時もAPHEX TWINを引き合いに出したが、APHEX TWINだってレーベルやレコード会社が違ってたら誰にも発見されず存在が埋もれたまま歴史に名を残さなかった可能性ってものすごく大きいと思うんです。APHEX TWINの人としての性格は極めて日本の"陽の当たるアンダーグラウンド"な(もしくはイノセンスな)合成音声ONGAKUを作るオタク体質のアマチュアミュージシャンに類似してる気がします。ジャケットのアートワークでは自分の顔を悪趣味な見せ方で露出させているが単にそれは戦略的な理由(もしくはやんちゃなおふざけ)で、本人はとても内向きで放っておけば何年でもひたすら音の実験をしているであろう地味な人物像であることは今では皆が知っています。ライブには消極的で、やらざる追えない時だけ姿を隠してやる感じがもう、普通のスター志望のミュージシャンとは全く違います。たまたま彼は世界的にそのインパクトを認められる流れに乗れただけの話で、もしAPHEX TWINがまだ曲を発表してない世界線で今全く無名なP名で日本のニコニコ動画にRICHARD D JAMES ALBUM(1996年の代表作)の曲を投稿したとしても、おそらくは800回以上の伸びは見せずアングラ曲とされ、知る人ぞ知るのみのポジションから飛躍できない可能性は高いでしょう。
リチャード・D・ジェイムスがもし みみみエナ を知ったら絶対リフレックス(APHEX TWINリチャード・D・ジェイムスのプライヴェートレーベル)から全作アナログリリースしようとアクションをとるだろうと思う。そのくらい共通する純度を感じる。
逆に言えば みみみエナやPuhyunecoは、取り上げられる場所次第では一気にグローバルな存在になりえるポテンシャルを持ってる とわたしは見ています。
なぜ私がこんなにAPHEX TWINを引き合いに出すのかといえば、ボカロ系音楽全体のアーカイブが世界の電子音楽の系譜にしっかり連なっていて、重要な化学反応と進化の成果を見せているにも関わらず、現状閉ざされた箱に入ってしまっている という見方をしているからです。テクノとボカロ。これは切っても切れない関係性があると思います。